Sunday, October 21, 2007

Women Deliver Launches!

3日間にわたって開催されたWomen Deliver Conferenceが昨日、幕を閉じた。

Women Deliver Conference Launches New Commitments (PR Newswire)

参加した各国政府や国際機関、NGOからは、MDG-4/5(MNCH)の達成を高い優先度を持って取り組むことが宣言され、そのために、女性のエンパワメント、ジェンダー平等をmultisectoralに推進していく必要性が訴えられた。

イギリス政府は、Women Deliver Initiative推進のためUNFPAに1億ポンド(日本円にして230億円超!)拠出することを確約し、日本政府は、Global Healthを来年のG8洞爺湖サミットおよびTICAD IVの中心課題に据
えることを宣言した。

主導権をイギリス・ノルウェーに持っていかれまいと、日本政府は、人間の安全保障のコンセプトに立脚した包括的なGlobal Healthのビジョンを提示したいと意気込んでいる。近いうちに政府から政策が表明されるようだ。

日本はこれまで、途上国であった「日本の経験」を2国間援助の枠組みの中では生かし、確かな成果を挙げてきた。しかし、国際的にはアピールが十分ではなかったと思う(これはGlobal Health分野に限らないと思うが・・・)。

ぜひとも今後のGlobal Health分野での日本のリーダーシップに期待したい。
そして、国内におけるGlobal Health分野が整備され、政策、研究、実践がリンクしあいながら発展する環境が生まれることを願うばかりである。

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Safe Motherhood Nairobi Conferenceの20周年として、Women Deliver Conferenceの果たした役割はどのようなものだったのだろうか。

もちろん、Materal Mortality/Morbdityについて、再び政治的に強いcommitmentを引き出すことができたことは大きな成果だろう。
しかし、私は何よりMDGsでバラバラに分断された「ケアの継続性」、そして「統合的・水平的なアプローチ」という観点に再びスポットが当たったことが重要だったのではないかと思う。

MDGsでは、貧困の撲滅(MDG-1)、初等教育の普及(MDG-2)、女性のエンパワメント・ジェンダー平等(MDG-3)、乳幼児の健康(MDG-4)、妊産婦の健康(MDG-5)、感染症(MDG-6)などがバラバラのターゲットとして設定された。
成果主義の観点からはこうした分割は確かに正しいが、これらの目標が互いに関係しあっていることを忘れてはいけない。関連性についての認識はあっても、具体的にそれがプロジェクト・プログラムに落とし込まれる際には、Goal設定としてどれか1つが選択されてしまう現状がある。
例えば、乳幼児と妊婦がバラバラにスポットを浴びたために、それらの継続性の観点が失われてしまい、新生児のケアの重要性が見落とされたり、女性のライフサイクルのうち、妊産婦としての女性の健康のみに着目することで、社会における女性のエンパワメントの視点を失ってしまったりすることはしばしばある。

妊娠から出生・発達(Maternal, Neonatal and Child Health)という「継続性」、そして女性のライフサイクルという「継続性」に着目した「Continuum of care」の視点は、1994年のカイロでの国際人口・開発会議で注目されたReproductive Health & Rightsの思想(更にはSexual and Reproductive Health & Rights)への回帰ともいえると思う。

また、それぞれの目標がバラバラに取り組まれることで、似たような介入が重複して行われたり、逆に1つの介入が他の介入の妨げになってしまうような事態も起こっている。先のL. Garrettの指摘はその最たるものではある。
統合的・水平的なアプローチの重視は、レシピエント政府のオーナーシップのもとで各ドナーが協調することで、こうした無駄や対立した介入をなくすことにつながる。Women Deliverをめぐっては2つの統合の方向性があるのではないかと思う。
1つは、公衆衛生のシステム強化というベースの元で、MNCHや感染症を含む種々のGlobal Healthのアプローチが統合されること。そして、もう一つは、Global Healthにおける「妊産婦の健康」という視点から、Global Developmentの枠組における「社会における女性」という視点に統合されること(Lancet 2007;370:1347-1357)だ。

これは、医療の世界で言うならば、臓器別の高度先端医療を全人的医療に統合するという難題に近いものであるように思える。さまざまなドナーのさまざまな思惑が絡む中、こうした作業を行っていくのは並大抵の仕事ではないだろう。
概念的・政治的な方向性はついた。さて、これをどう現実のアプローチとして落とし込んでいくのか。これからが正念場だ。

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