Thursday, April 26, 2007

The 80th General Meeting of the Japanese Leprosy Association

来る5月、第80回となる日本ハンセン病学会総会・学術大会が横浜で開催されます。

今年は、WPROの結核ハンセン病担当官のSumana Barua氏が講演されます。
国内のハンセン病にとどまらず、世界規模でのハンセン病、そして国際協力まで、とても面白そうなセッションが目白押し!
日本の国際保健協力のあり方を討論するセッションや市民公開講座(日野原先生がいらっしゃいます。)ももたれます。

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■ 特別講演:5月18日(金)14:55~15:40


Updates on th leprosy situation in WHO-Western Pacific Region focusing on future challenges 

Sumana Barua(STOP-TB and Leprosy Elimination Unit WHO-Western Pacific Regional Office)
座長:石田 裕 国立国際医療センター国際医療協力局


■ シンポジウムⅠ:5月18日(金)15:55~18:00

課題:これからの日本の国際協力

座長:スマナ・バルア WHO西太平洋地域事務局 結核ハンセン病担当官
    後藤正道 鹿児島大学大学院人体がん病理学

■ 県民・市民のハンセン病公開講座

主催:日本ハンセン病学会

共催:横浜市健康福祉局
後援:神奈川県
開催期日:2007年5月19日(土)14:00~17:00
会場:横浜関内ホール
231-8455横浜市中区住吉町4-42-1
TEL:045-662-1221
入場:無料(当日ご自由にご参加下さい)

1:「シュバイツアー病院を訪れて」
 日野原重明 先生(聖路加国際病院理事長、文化勲章受章者)

2:師弟対談:「金持ちより心持ち」
 日野原重明 先生、Sumana Barua 先生WHO感染症担当官)

3:「私ができる仕事~伊波(いは)基金への夢~」ハンセン病回復者の半生
 伊波(いは)敏男 氏(作家・ハンセン病回復者)

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この大会、以前、私が大学でハンセン病の市民講座を開催した際に講師をお願いした大学の大先輩が大会長を務められており、また以前、私が代表を務めてい た国際保健のフォーラムで基調講演をなさってくださったBarua先生が特別講演をされます。さらにシンポジウムでは私の友人も発表します。さまざまな意味で私自身ともつながりがある大会で、ぜひ参加したいと思っています。

Blogをご覧になった皆様もぜひぜひ会場へ足をお運びください。

Tuesday, April 24, 2007

Aid groups halt work in western Darfur border area

さっき入ったニュース。今日は2本も書くことになってしまった。

Aid groups halt work in western Darfur border area (Reuters AlertNet)

Oxfam、Save the Children、Mercy Corpsなどの国際NGOが暴力が激化するUm Dukhun(西部Darfur/Chad・中央アフリカ国境地帯)での活動を停止することを決めた。この地域はDarfur紛争の中心地で10万人の人々が住んでいる。ここ数週間、この地方では武装集団によるNGO職員への襲撃が相次いでおり、苦渋の決断を迫られた模様。


一方で、Sudan Tribuneは、Sudanの防衛大臣のインタビュー記事を掲載。

Defence minister says Sudan will fight foreign intervention

もし国連が一方的にSudanに軍を送れば、政府はSudanが第2のIraqになるのを防ぐために戦うだろうと脅迫。欧米やIsraelが望んでいるのは、統一Sudanを壊し、弱い5つの国に分断することだ、と主張した。Sudanに駐留すべきなのは、AUであって、国連ではない。国際社会は資金不足の続くAUへの資金供与を強化すべきだとも発言。

DarfurへのUN/AUを偽装した武器輸送に関しては、”Iraqに大量破壊兵器は見つけられたか?そして彼らは今までIraqで何をやってきた?”と国連の非難を一蹴した。

ますますもって先行き不透明となってきたDarfur危機。
今後の国連、そしてアメリカの動向に注視したい。

そして、丸裸にされた10万人の人々が安心して暮らせる日が戻ってくることを願ってやまない。

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テクノラティプロフィール

Monday, April 23, 2007

Tadataka Yamada: Keynote Speech @ The 4th Annual World Health Care Congress

一昨日、昨日とWashington, D.C.で開催された世界ヘルスケア会議。
山田忠孝氏によるオープニング基調講演が開かれ、今日オンラインで視聴できるようになりました。

Tadataka Yamada: Opening Keynote Address @ The 4th Annual World Health Care Congress(.mov file)

山田忠孝氏はBill & Melinda Gates Foundation(ゲイツ財団)の主要部門、Global Health ProgramのExecutive Directorであり、今後のGlobal Healthの行方をにぎるkey personの一人。

先のForeign Affaris(jan/feb, 2007)におけるL. Garrett氏による批判に答える形で、ゲイツ財団の今後の方針が明らかにされました。

L. Garrett氏の論文では、三大感染症、特にHIV/AIDSに過剰な関心と資本投下が行われることで、他の重要な地域保健システムを維持することが困難になっているという現状を分析し、このままでは地域保健システムが崩壊し、途上国における保健状況は悪化しかねないと警鐘を鳴らしました。

例えば、集中的な資本投下が行われたセクター(例えばAIDS治療)に賃金インセンティブが働き、これまで地域保健を担ってきたヘルススタッフがそちらに流れてしまうという現象が起こり、より基礎的なインフラとしての地域保健・公衆衛生に従事するスタッフが不足に陥ってしまっている状況が明らかになりました。
そして同時に、Recipient Sideが多額すぎる資金をマネジメントすることができず、資金があふれ出し、すでに汚職や腐敗が進行しているという分析もなされました。

この論文の発表は、これまでのGlobal Healthの関係者の枠を超えて関心を集めており、非常に大きな論議を醸し出しています。(これまでもLancetのChild Survival Seriesなどでも同様の問題点は指摘されてきたものの、関係者の間で問題意識が共有されているにすぎませんでした。米国外交の行方を占うForeign Affairsに掲載されたことで問題の大きさが改めて浮き彫りになったといったほうが良いのかもしれません。)

今回のSpeechは、こうした批判に答え、今後のゲイツ財団の方向を位置づけたともいえます。
山田氏は、現在のGlobal Healthをめぐる最重要課題を「不公平性 Inequity」と位置づけ、その解決を妨げる要因として人材の不足・偏在・流出を大きな問題としました。
偏った点の介入(AIDS対策、など)だけでなく、より公衆衛生的・地域保健的な面の介入へのFundingを強化する必要性、そして、汚職防止のためのFundの流れのモニタリング・評価を強化する責任も明確にしています。
同時に、安価で効果的な医薬品(ワクチンなど)の基礎研究を推進する投資も重要であることを繰り返しています。(ちなみに、山田氏は現職就任まで巨大製薬企業gskの研究開発部門のDirectorでした。)

これまでのHIV/AIDSへの集中投下から、より公平に世界の公衆衛生改善に寄与しうる投資へ、そして財務のmanagement強化とaccountability向上に向けてゲイツ財団は舵を切ることになりそうな予感です。

そして、来る7月16-18日、今度はPublic Health CongressがD.C.で開催されます(上述会議と同じWorld Congressが主催)。
そして・・・この会議での基調講演は、なんと、Laurie Garrett!!
まさに狙ったような人選ですね。本当に面白そうで目が離せません。

あぁ会議でてみたいなぁ・・・でも学生でも4万円近くするみたいだなぁ・・・無理無理(苦笑

p.s.
ちなみにLaurie Garrett氏は、"Big Ps"といわれる3大ジャーナリズム賞、つまりPeabody賞、Polk賞、Pulitzer賞をすべて受賞しているただ一人のジャーナリスト。特にGlobal Health分野を専門とする。
現在は外交評議会Council on Foreign RelationsのSenior Fellow for Global Healthという立場。
外交評議会はアメリカ外交政策の奥の院と言われ、この評議会の機関雑誌Foreign Affairsは、その後のアメリカ外交政策に深く関わっている。たとえば、Samuel P. Huntingtonの歴史的論文、「文明の衝突 Clash of Civilizations」は1993年にこのForeign Affairsに掲載されたもの。

Wednesday, April 18, 2007

Sudan flying arms to Darfur, UN panel reports

Sudan Flying Arms to Darfur, Panel Reports (New York Times)

昨日国連平和維持軍の展開をしぶしぶ認めたスーダン政府。
しかしその実態は・・・

NYTがすっぱ抜いた。

17日明らかになった国連の内部暫定文書によると、スーダン政府が国連安保理決議に反し、武器をDarfurへ空輸(しかもUNやAUの飛行機に偽装して!)しているらしいのだ。しかもその目的は武器輸送だけにとどまらず空中査察、さらになんと村への爆撃(!!)にも使用されているという。

レポートの内容が事実だとしたら、今後展開されるAU/UNのMissionは非常に危険性の高いものになるだろう。これがまだ内部文書である以上何も言えないが、せっかく第一歩を歩み始めた国連にとって与えているインパクトは相当大きいことは間違いない。

このレポートは、奇しくもスーダン政府が国連平和維持軍の受け入れを表明した翌日に明らかとなった。レポートの調査期間はごく最近で、昨年の9月から今年の3月までだった。

私は、スーダン政府のこの偽装がかなり戦略的に行われてきたのではないかと感じる。
もしスーダン政府がすでに昨年の9月の段階で、国際的圧力に耐えることは不可能で国連軍の受け入れが不可避であるということを認識していたとすれば、理に適っているからだ。
国連の査察団の受け入れを頑なに拒否し続けてきたのは、この戦略が国際社会に明らかになるのを防ぐためと考えることができるし、いずれ来るであろう制裁、国連軍の受け入れまでの時間を稼いで、その間にUN/AUの名の下に破壊活動を行って住民への悪印象を植え付け、その後の国連活動を非常にやりづらくするため、と考えることもできる。
つまりUN/AUを、スーダン政府/Janjaweedと、対立する反政府組織/非アラブ系住民の共通の敵に仕立てあげてしまおうというわけだ。

もしUNが保護する対象から攻撃を受けて死者が出るような事態となったら・・・
イラク戦争に辟易している国際社会はどう反応するだろうか。これを「人道援助」と呼ぶことを許すだろうか。

さらにスーダン政府は空輸を継続的に行ってきたことで、UN/AUをまじえた内戦の長期化に備え、すでにDarfurにおける武器の蓄積がかなり進んでいるとも考えられる。

もしスーダン政府が状況を理解してこうした戦略をとってきたとするならば、Darfur(&Chad)紛争の解決は、想像以上に困難な道となるのかもしれない。

Tuesday, April 17, 2007

Sudan agrees to UN troops

Sudan agrees to UN troops
Ban hails Sudan's UN troops move

国際社会が非難し続けて数年、ついに・・・とうとうSudanがDarfurへの3000人規模の国連軍の介入を認めました。
4年間の内戦で、少なくとも20万人(40万人以上とも言われる)が亡くなり、240万人が家を失ったと言われる「史上最大の人道危機」に、とうとう明るい光です。
現在Darfurで展開しているAU(アフリカ連合)軍7000人と合わせて一万人。国連が想定するDarfur missonの2nd phase(国連によるAU軍への後方支援と軍事支援)についに入ることになったと言えます。
まだまだ国連が目標とする2万人規模のUN/AU混成軍には到底及んでいませんが、危機解決に向けての大きな前進であることには違いありません。
一方で、内戦は更に激化し、隣国Chadへも波及、すでに大量の国内避難民が発生している様子。
一刻も早い大規模な介入が実現し、人々が安心して暮らせる日々が戻ることを願ってやみません。

とはいっても…夢物語の実現は簡単にはいく話ではないでしょうね。

何はともあれまずは紛争解決が最優先事項であることは間違いないものの、実際は、―多くの国がそうであるように―紛争終結後の復興開発こそが本当にハードなステップとなるわけですしね。国際社会の注目が集まり多額の援助が集まる間はいい。問題は"silent tsunami"化した後、つまり、緊急を脱して注目度も援助額も減少したときでしょう。

そして、和平後のSudan自体の動向も大きな問題です。もし多くの紛争を抱えるSudanがそのまま分裂することになったら・・・(Sudanは西部Darfur地方のほかにも南部、東部でも紛争を抱えている)Africa全体に分離独立の機運が高まり、更に各地の紛争が激化する結果を招きかねない・・・。

今後の展開はAfrica地域全体のその後を占う上でも非常に重要になってくるだろうと思います。

Google、スーダン・ダルフール危機をGoogle Earthでマッピング実況