Saturday, November 1, 2008

Will International Crisis Occur?

Powell Warns of Crisis "We Don't Even Know About Right Now"

先日バイデンが発していた言葉をオバマ支持のパウエルも繰り返した。「来年オバマが大統領に就任した直後、何らかの国際的な危機が起こる。そしてオバマはこの最初の試練を乗り越えなくてはならない。何らかの国民の反発を招きうる政策をとることを決断せねばならないかもしれない。」というのだ。

ここでいう「国際危機」とは経済危機のことではない。政治危機のことを指していると考えられる。バイデンもパウエルも何が起こるか、明言は避けているが、何らかの政治危機、戦争が起こることを予感させている。

来年頭の政治危機として想定しうるものを考えてみると、真っ先に浮かぶのがイスラエルと中東の戦争である。

イスラエルは、先日の米国大統領選に関する調査で圧倒的多数がマケイン支持であった。
マケインは、イスラエルと大きなパイプを持ち、イスラエル寄り姿勢を示している。もし大統領となったならば今後もイスラエルと中東に対する影響力を行使し続けてくれると考えているためだ。
一方のオバマは、イスラエルとは距離を置く姿勢をとっている。親イスラエルであるヒラリー支持者がオバマ支持への鞍替えに対して困惑する点の一つはここにもある。

イスラエルとの関係まで「CHANGE」しようとしているオバマが大統領になれば、イスラエルは現在行使しているアメリカにおける権力を大きく失うことになる。(アメリカは政権が変わると、官僚機構の内部の重要な人事の総入れ替えが起こる。ワシントンD.C.の雰囲気が変わるとすら言われる。)

しかも後ろ盾がなくなるイスラエルはオルメルト首相の任期が切れ、来年2月前後に総選挙を迎えることになる。アメリカの後ろ盾を失うことが濃厚なイスラエルの世論は割れており、和平に積極的な中道与党のカディマのリブニと、反パレスチナの右派リクードのネタニヤフが戦うことになる。以前であれば、アメリカが眼を光らせており、こうした際に外国の介入を招くことはあまりなかったが、今度はアメリカの影響力が弱い中での選挙である。この期に乗じて中東がイスラエルに圧力を加える可能性は否定できない。

しかし、私はむしろイスラエル側からの攻撃こそ可能性が高いのではないかと思う。イスラエルにとってみれば、オバマが大統領になった時点ですでに守るものはなくなってしまうのだから。守勢に立ち続ければ中東の介入を招き、いずれ戦争になる。そうならばあえて先手をとることで、アメリカの世論を喚起させ、嫌でもアメリカに介入させようとするのではないか。

更にこの危機を扇動するであろうと思われるのが、911以降潤ってきた米の軍需産業だ。イラク戦争終結を明言しているオバマが大統領になったら、アメリカの対テロ戦争の主戦場はアフガンに絞られることになる。彼らは戦場がなければ産業が成り立たない。オバマが大統領になった時点で出鼻をくじいて新たな戦争を起こし、世論を操作しようと考えてもおかしくはない。

もし中東戦争が再び起こるとしたら、オバマはどんな決断をするのか。イスラエル滅亡を容認すれば、アメリカ内部の巨大なユダヤ人コミュニティから猛反発を食らい、まだ脆弱な段階の政権運営に極めて大きな影響を及ぼす。一方、イスラエルを擁護することになれば、シオニスト(イスラエル復興主義者)の政権内への侵入を許すことになる。いずれの決断を下すとしても、前途は極めて困難だろう。

果たして、バイデンやパウエルが言うように本当に「何らかの危機」は起こるのか。しずれにしても今度のアメリカ総選挙で世界は大きく変わる。何が起こってもおかしくはないのは確かだ。

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