Friday, October 31, 2008

'Human catastrophe' grips Congo

'Human catastrophe' grips Congo

先進国が経済危機であたふたしている一方では、アフリカのコンゴ民主共和国(DR Congo)東部で内戦が激化して20万人以上の国内避難民が出ている。一部はすでに国境を超えて難民としてウガンダにも移動していると予想されている。

この内戦、根本にあるのは、この近隣に住むツチとフツの因縁の関係、そして地下に眠る豊富な天然資源だ。

ツチとフツ(民族的な相違はないとされているため、「ツチ族」、「フツ族」は誤り)の因縁の関係は、94年のルワンダの大量虐殺で記憶している人も多いと思う。もともと、ツチとフツとの因縁は今から500年もさかのぼる。古くから王国であったルワンダでは、少数派のツチが多数派のフツを支配するという構造の社会であった。その構造は植民地時代を経ても変わらず、戦後独立を果たした後も、ツチが政治の実権を握る社会が続いてきた。ところが東西冷戦が終わり世界の緊張関係が変化すると、こうした矛盾が一気に顕在化した。抑制がとれ、大量に流入した武器を手にフツの過激派によるツチへの反乱が始まった。いわゆるルワンダ内戦だ。

一時はフツの手に渡り、ツチ、穏健派フツへの凄惨な虐殺が行われたルワンダだったが、その後、ツチはウガンダの協力を得て再び進攻、フツをザイール(現DRコンゴ)東部においやった。その後、ツチ中心へと戻ったルワンダ政府はフツ掃討を目的にザイールへ進攻し、首都キンシャサを陥落させるに至る。(ザイールはもともと、複数の部族が群雄割拠しており、国としての力は弱かった。)

ここで更に話をややこしくしているのが地下資源の存在だ。DRコンゴは、アフリカ随一の鉱物資源国であり、中でもダイヤモンドや銅、半導体の原料となるレアメタルなどの埋蔵量は世界有数の規模を誇る。 フツ掃討のために進攻したルワンダ軍はその地下資源に眼をつけ、軍資金を獲得するためにダイヤモンドの採掘をはじめたのだ。


その後、キンシャサ陥落後、傀儡として政権を握った大統領カビラは、あろうことか逆に親であるルワンダの支配からの脱却を目指し、フツを支援した。当然ルワンダは激怒、カビラ打倒へ兵を進めはじめる。そこでカビラが利用したのが豊富な地下資源だった。その採掘権を見返りに周辺各国へ支援を要請、鉱山地帯の争奪を目的に大規模な国際紛争(アフリカの世界大戦とも呼ばれる)がまき起こった。この戦争の黒幕が利権をむさぼる欧米企業(鉱山企業、宝石企業、銀行など)であったことは映画「ブラッド・ダイヤモンド」でクローズアップされた通りだ。

その後、カビラ大統領が暗殺されたことで事態は収束していく。後をついだ息子のジョセフカビラは和平を模索し、国連の仲介で2003年、周辺諸国を撤退させ、フツの勢力の多くを武装解除させ、紛争は終結した・・・はずだった。

しかし・・・物事はそうは簡単には動いていない。そもそもDRコンゴは面積が大きい国だ(ヨーロッパ全体とほぼ同じ大きさ)。広範囲に広がるゲリラをすべて武装解除させることは至難の業だ。DRコンゴ東部のツチ勢力ゲリラである「人民防衛国民会議(CNDP)」はその後も「フツから土地を守る」ことを名目に武装を続け、コンゴ東部は極めて治安が悪い状況が続いた。

今年1月になって和平協定が結ばれ、事態は好転するかに見えたが、8月には協定を破棄し、再び戦闘を開始していた。(そもそもCNDPのボス、ヌクンダは署名式に欠席している)

なぜ再び戦闘が始まったか。一番の理由は、DRコンゴ政府によるフツ勢力の勢力拡大を黙認したことだと言われている。DRコンゴ政府はフツに対し、表面上は不法占拠をやめるよう清明は出しているものの、実際には一切そのための行動を起こしていないためだ。そもそも前カビラ政権時代、DRコンゴ政府はフツを支援しており、ヌクンダは現在も鉱山地帯を支配するフツが政府の支援を受けていると考えている。(採掘を共同で行ったりしているらしい。)

その真偽はともかく、DRコンゴ政府側にも引き下がれない理由があった。それは逆にCNDPがルワンダから武器供与を受け活動していると踏んでいるためだ(ルワンダは関係性を否定している。)。ルワンダは、内戦後現在に至るまでツチ勢力が再び実権を握っている(表面上はツチとフツの区分は撤廃されたが)。ルワンダ大統領のカガメは内戦の際のツチ反乱軍の出身だ。DRコンゴ政府がヌクンダを利用してDRコンゴ東部のフツを武装解除させたいと考えるのにはもっともな理由がある。

つまり裏を返すと、DRコンゴにおけるツチvsフツの紛争はDRコンゴとルワンダの代理戦争という見方ができる。

紛争はここにきて激化している。CNDP側が攻勢を強めているためだ。国連は、DRコンゴ内紛終結後、史上最大規模17000人の平和維持部隊(MONUC)を展開してきたが、CNDPの進軍に手をこまねいている。DRコンゴ東部の拠点ゴマでは、CNDPに追われた避難民が大量に押し寄せており、治安が急激に悪化。手をこまねく国連に怒ったゴマ市民によるMONUC事務所の襲撃まで起こっている。

政府軍は既にゴマを捨てて撤退をはじめており、市民はパニック状態。ゴマの避難民キャンプから さらに4万5千人が退去をはじめているという。

更に、事態は複雑化している。DRコンゴ政府は、ルワンダ政府が国境を超えて攻撃したと避難、隣国アンゴラに支援を求めている。ルワンダ政府は否定しているが、MONUCの拠点もルワンダ側から砲撃を受けている。

DRコンゴ政府・国連 vs CNDPという構図から、更にルワンダやその他の周辺国を巻き込んだ大規模な紛争に発展しかねない様相を呈し始めた。

ふたたびルワンダ危機の悪夢が蘇るのか。

世界が金融危機で危機に陥っている裏をついた今回のコンゴ紛争。ヌクンダの目論見どおり、先進国が足元の火事で大忙しになり、DRコンゴの危機のニュースは置き去りにされてしまっている。このまま国際社会の眼が向かなければ、本当に大惨事へつながりかねない極めて危険な状況である。

こういった時にこそ、ダルフールの反省を生かし国際社会は毅然とした態度で取り組んでほしいのだが・・・。

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