Monday, December 25, 2006

The Challenge of Global Health (From Foreign Affairs) : vol.2

The Challenge of Global Health (Foreign Affairs - Laurie Garrett)

2. SHOW ME THE MONEY


 近年のFundの急激な増加はHIV/AIDS Pandemic(大流行)を直接の帰結として始まった。数十年の間、公衆衛生学の専門家は開発途上国と先進国との間のケアという問題に関する深遠な不公平という問題に直面してきた。ヘルスワーカーは不公平を嫌うが、保健問題は貧困と開発というより広い問題にネストされているがために紛れもない事実であるとして受け入れる傾向にあった。一方、西側のAIDS活動家や医師、科学者は開発途上国の経験を持っている人は少なく、それがゆえに不公平を目の当たりにした際、声を上げて激しく憤った。

 革命は1996年、カナダのVancouverで開催された国際エイズ会議に始まった。科学者たちは、抗HIV薬(抗レトロウィルス薬、ARVとして知られる)の併用療法が感染者体内におけるウィルスの広がりを劇的に減少させ、より長く生きることができるようになるという、気分を引き立たせる証拠を発表した。実際、一夜にして何万もの先進国の感染者の男性・女性が新しい治療を受けられるようになった。そして1997年中頃、AIDSの目に見える恐怖は欧米からはほとんど消えた。

 しかし、その薬は年間14,000ドルかかり、さらに検査と診察のために更に年に5,000ドルかかるという代物であり、世界の大部分のHIV陽性人口にとっては手が出るようなものではなかった。1997年から2000年にかけて、この問題を解決するため、世界中の活動家により、製薬会社に価格を下げさせジェネリック薬(後発医薬品:特許が切れた薬品を安価で生産したもの)の製造を認めるよう働きかける運動がゆっくりと始まった。活動家は時のクリントン政権と、そのカウンターパートである先進国グループG8に対して、ARVを買うための予算を計上し、それらを貧しい国々に寄付するよう求めた。そして1999年までにサハラ以南アフリカにおける保健関連プログラム(HIV/AIDS治療を含む)への寄付総額8億6,500万ドルを超えるまでになった。そしてその額はわずか3年で10倍以上になった。

 2000年には、2000人の活動家、科学者、医師、患者が別の国際エイズ会議のために南アフリカ、Durbanに集まった。その場において前南アフリカ大統領、Nelson Mandelaは、ARVアクセスの問題を教訓的な言葉で定義づけた:国際社会は、Harare、LagosあるいはHanoiの貧しい人々が、LondonやNew York、Parisの金持ちが生き続けることができる治療を受けられずに死ぬことは許さないということを言葉と行動ではっきり示さなければならない、と。HIV/AIDSに関する途上国への寄付は1999年に3億ドルに達し、これは、開発援助全体の0.5%にあたると世界銀行の経済学者Mead Overは言う。しかし彼は、これらの総額を”哀れなほど不十分”と特徴づけており、HIV/AIDS Pancemicによって、アフリカ諸国は直接的な医療費と労働と生産性という間接的な損失により毎年約50億ドル支出しなければならないと指摘した。

 2001年、経済学者Jefferey Sachs率いるHarvard大学の128人のグループが試算したところによると、サハラ以南アフリカにおいてARVの供与を受けているのは4万名を下回る状況であった。約2500万人がHIVに感染し、そのうち約60万人がARVを至急必要としているのに、である。米国国際開発局(USAID)のDirector、Andrew Natsiosは、下院国際関係委員会(the House International Relations Comittee)で、アフリカ人は、時計も持っていないのだから、薬の適切な併用療法を適切な間隔で飲み続けることなど不可能であると述べ、そうした薬を配布するというアイデアを却下した。HarvardのグループはNatsiosのコメントを人種差別であるという烙印を押した。その上でSachsは、主張されているような貧しい国々でHIV/AIDS治療を広げる障害は”存在しないか克服可能である”とし、”最初の1~3年間に毎年11億ドル、その後、2005年までに毎年33億~55億ドルの支出”で、300万人のアフリカの人々がARVの恩恵をこうむることができる(2005年度末)と主張した。

 Sachsは更に、マラリア、結核、小児の呼吸器・下痢感染症への外国支援予算は110億ドル、AIDS孤児のサポートのために10億ドルが必要であるとした。そして、HIV/AIDS感染予防は、毎年30億ドルで取り組むことができる、と付け加えた。言い換えれば、毎年200億ドルを優に下回る予算で、世界は真剣にGlobal Healthの推進を開始することができる。

 昔はあつかましい要求であるみなされていたものが、実際、たった5年後の今では、その要求を上回るまでになっている。HIV/AIDS援助は、効果的に、より大きなGlobal Public Healthの課題の陣頭指揮を執るようになった。しかし、300万人のアフリカ人が2005年末までに容易にARVの恩恵をこうむるというHarvard大学のグループの主張は楽観的過ぎた。WHOの"3 by 5 initiative"は、アフリカのみならずすべての貧困・中進国を合算しても300万人のターゲットのうちの半分しか達成することはできなかった。そうであったとしても、現在、HIV/AIDS Pandemicに奮起される形で保健援助への驚くべき推進力が構築され、それは弱まる兆しを見せていない。

<続く>
... 3. MORE, MORE, MORE

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