Tuesday, December 26, 2006

The Challenge of Global Health (From Foreign Affairs) : vol.3

Merry Christmas!

The Challenge of Global Health (Foreign Affairs - Laurie Garrett)

3. MORE, MORE, MORE

 近年、米国の個人、企業、財団の寛大さは、驚異的な割合で増加した。the Bill and Melinda Gates Foundationは、2006年8月現在、設立から6年の間で66億ドルをGlobal Healthプログラムに拠出した。その総額のうち約20億ドルは、結核、HIV/AIDS、その他の性感染症(STD)に関するプログラムに充てられている。1995年から2005年までの間、米国の慈善財団からの寄付総額は3倍に増加し、そのうち国際的なプロジェクトの占める資金の割合は80%に及ぶ。そしてその3分の1以上がGlobal Health関連である。政府とは別に、米国人は74億ドルを2005年の災害救援に、224億ドルを国内外の保健関連のプログラムまたは研究のために寄付している。

 一方で、Bush政権は、2001年には114億ドルであった政府開発援助(ODA)を2005年には、275億ドルまで増額している。このうち、HIV/AIDSおよびその他の保健関連プログラムへの拠出は、Iraq、Afghanistan関係以外では最大の割合となっている。そして2003年の一般教書演説において、大統領George W. Bushは、150億ドル規模のHIV/AIDS、結核、マラリアに取り組むための5カ年計画の創設を求めた。同年5月の議会で承認された、この"the President's Emergency Plan For AIDS Relief" (PEPFAR)は、まずHIV感染者へARVを供給することを目標とし、16カ国を対象とする援助である。これまでにおおよそ85億ドルが使用されている。PEPFARの目標は野心的であり、2008年初等までに200万人にARVを提供し、さらに1000万人に何らかの形のケアを提供するというものである。2006年3月現在、PEPFARが資金提供するプログラムにより、56万1千人の人々がARVを受け取っている。

 しかし、この寄付の急激な増加は、米国によるものだけではない。海外のすべてのOECD(経済協力開発機構)加盟諸国からの開発援助は2001年から2005年にかけて飛躍的に増大しており、中でも保健分野の増加の伸び率は最大である。そして2002年、ユニークな分散型資金調達メカニズムが設立された。国連システム、各国政府双方から独立した"the Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis, and Malaria"(世界エイズ結核マラリア対策基金)である。この基金は、各国政府、慈善団体・個人、そして様々な企業の寄付の枠組からのサポートからなる。この基金の誕生以来、66億ドル分のプロポーザルが受理され、29億ドル分が配布されている。そのうち5分の1以上は、中国、Ethiopia、Tanzania、Zambiaの4ヶ国が占めている。基金が推計したところによると、現在、すべてのHIV/AIDS対策プログラムの20%、結核・マラリア対策の66%に資金を供給している。

 基金の一員である世界銀行は昔、人々の健康はミッションである全般的な経済発展に伴って改善されると考えており、保健問題にはほとんど興味を示してこなかった。しかし、Robert McNamaraが総裁を務めた時期(1968~1981)において、世銀は少しずつ一部の保健プロジェクトに直接投資をするようになる。たとえば、西アフリカにおける河川盲目症の予防などである。1980年代終わりまでには経済学者は、熱帯地域や絶望的に貧しい国々における病気そのものが開発と繁栄の重大な障害であること認識するようになり、1993年には、世界開発報告書の中で公式に方針転換を表明した。次の10年において世銀は着実に保健関連の支出を増やし、2003年には34億ドルにまで達した。そのうち8700万ドルがHIV/AIDS・結核・マラリア対策、2億5000万ドルが小児・母子保健対策に充てられている。その後、少しずつ割合は減少し、2006年現在21億ドルとなっている。また近年、IMF(世界通貨基金)・OECD・G-8とともに世銀は、AIDSやその他の病気で大きな打撃を受けた多くの負債を抱えた貧しい国々に、支払うべきであった負債分を代わりに保健を含む重要な公共サービスに充てることを条件に、負債の帳消しを行った。

 2004年12月、アジアを津波が襲った際、世界はグローバル化した寛容の深さを目撃した。大半が個人によって推計70億ドルがNGO、教会、政府に寄付されたのである。そのうち保健プログラムの占める割合はわずかなものでしかないが、多くの鍵となるGlobal Healthの立役者たちは、この寄付金によって大きく強化された。

 2006年1月、鳥インフルエンザの拡大の脅威に伴い、その世界的なPandemicを回避することを期し、35ヶ国が19億ドルをその研究やコントロールの努力のために拠出することを誓約した。それ以降、G-8諸国、特に米国は、東南アジアおよびその他の地域で、疫学サーベイランスや疾病コントロール活動を強化するため追加予算を拠出している。

 そして、貧しい国々自身もついに自身の保健支出を増加させはじめた。一部は公的資金の社会サービスへの分配が不当に低いという批判に応えるためである。たとえば、1990年、サハラ以南アフリカの国々で一般的に保健支出に充てられるのは国家予算の3%以下であったが、それとは対照的に、2003年にはTanzaniaでは13%が保健関連のモノ・サービスのために予算計上された。中央アフリカ共和国、Namibia、Zambiaでは12%を占めており、Mozambique、Swaziland、Ugandaでは約11%である。

 次に、大半の人道的あるいは保健関連NGOにおいては、急激なGlobal Health拠出の伸びが巨額の恩恵となり、組織の数および活動の範囲とその深さが大きく進展している。ある信頼のできる推計によると、現在AIDS関連のみで6万のNGOがあり、より一般的なGlobal Health領域においては、その数は更に多いらしい。事実、貧しい国々の保健省は、彼らの地で行われる外国組織による活動を追跡できないことに鬱積を募らせており、こうした組織に対し政府の政策や優先度に歩調をあわせてサービスを提供し、リソースが少ない地域での重複を避けるよう約束させている。

<続く>
...4. PIPE DREAMS

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